第二回「哲学的思考の身に付け方」

第一回では、「哲学とは何か?~哲学の神髄とその意義~」についてお話ししました。

第二回では、「哲学」と言う営みを可能にする「哲学的思考の身に付け方」についてお話しします。

どうすれば「哲学=疑うこと」を可能にする「哲学的思考」を身に付けられるのでしょうか。

ここまでの話で、「哲学ってすごい!」と思いつつも、「哲学的思考」は、普通の人間が身に付けることは難しい、天才だけの才能ではないかと思った方もいるかもしれません。

 

しかし、そんなことはありません!

 

「哲学的思考」は、訓練によって、誰でも身に付けることが出来るものです。

かくいう私も天才ではありません。

大学入学まで、何の疑問も持たず、「当たり前」に従い、生きてきた凡人です。

では、私のような凡人でも、「哲学的思考」を身に付けられるような訓練とは、

どのようなものなのでしょうか?

 

それは、一言で言うと、

「当たり前を超える経験」をたくさん積むことです。

なぜなら、「当たり前を超える経験」を積むことで、自分の思考を縛る「当たり前」が外れていき、物事を柔軟に疑える「哲学的思考」を獲得できるからです。

 

では、「当たり前を超える経験」とは何か。

私のおススメを3つ挙げます。

 

1.自分と価値観・考え方の違う人たちと議論をする

イギリスの哲学者J・S・ミルは「自分と異なる人間・価値観に出会うことの価値は、いくら高く評価しすぎてもしすぎることはない」と述べています。要するに、「自分と違う人と出会い議論することが大事だ」と言っているわけです。なぜなら、自分と異なる人と議論することで、自分の中の「当たり前」が、必ずしも「当たり前ではない」ことに気付くことができるのからです。その積み重ねが、自分の思考を縛る「当たり前」を解していき、物事を柔軟に疑える「哲学的思考」の獲得に繋がるのです。

このような経験は、多様な背景を持つ学生が集まる「大学」のような場所では、得るチャンスが多くあります。自分でこのことを意識して行動することで、その価値を最大化することができます。例えば、「自分とは違うor多様なタイプの人が所属しているサークルに行ってみる」「大学外の人や社会人と交流する機会を探す」などが挙げられます。

 

2.哲学書を読む

これは非常に価値のある経験です。

なぜなら、本を通じて、古今東西の哲学者と議論することで、「①当たり前の超越」「②プロの哲学的思考の経験」ができるからです。

①は、自分と地域も時代までも異なる人間の考えに触れることで、「当たり前の圧倒的超越」を経験することができます。

加えて、特に重要なのが②です。

皆さんは、プロのサッカー選手になりたければ、プロサッカー選手のプレーを見習いますよね。それと同様に、「哲学的思考」を鍛えるためには、哲学書を通じて、プロの哲学者から見習うべきなのです。

時代を問わず、一流と呼ばれる哲学者たちは、圧倒的な知識常識にとらわれない柔軟な視点から、「物事の本質を捉えるプロ」です。彼らの著作が『古典』と呼ばれ、現代まで読み継がれている理由は、彼らの言葉が、現代でも通用する「物事の本質」を捉えているからです。

そのような「プロ哲学者」の本を読み、彼らの考え方を見習うことは、皆さんが「哲学的思考」という強力な武器を得るための貴重な経験になるでしょう。

なぜなら、あなたはその本を通じて、人類最高の知性たちから教えを授けられるのだから…。

(おススメの哲学者:正統派はソクラテス、切れ味ならニーチェがおススメです!)

*いきなり哲学書を読むのが不安な方は、鷲田清一など近年の日本の哲学者が書いた一般向けの入門書から始めることをおススメします!

 

3.自分が知らない世界に行く

これは、実体験でなるため、一番強烈です。

分かりやすい例は、海外留学海外滞在でしょう。異文化であればあるほど、そこでの経験は、自分の「当たり前」をはるかに超える強烈な体験になるはずです。

かくいう私も、雄弁部にいる中国人の後輩と共に、上海、香港から、広東省の彼の地元まで回る2週間の旅をしましたが、カルチャーショックの連続でした。

一度失くすと二度と帰ってくることはない財布、各所に建てられた共産党の大看板、露店で出される正体不明の謎の食物(だけど旨い)、中華民国時代を知るおばあちゃん。例を挙げればきりがありませんが、自分の世界の狭さを痛感する刺激的な冒険でした。

「人間は経験から学ぶ生物」とは、よく言われますが、この3つの中でも、特に強烈な経験ができるので、最も効果は高いと思います。

ただ、デメリットとしては、「お金がかかりやすい」「遠い」など色々あります。

なので、近場で「異文化体験」をするのもアリです。企業インターンを通じた「社会人体験」、「フィールドワーク」で、国内の地方や特異な文化を持つ地域に行くことも良いでしょう。

とにかく、自分の「当たり前」から離れた経験をすることが大事なことです。

それなりのコストはかかりますが、自由な学生時代の内に、一度は経験することをおススメします!

 

以上の3つを、自分のやりやすいものからでいいので、できれば全てを織り交ぜて、経験し続けることで、自分の「当たり前」に捉われない、物事を柔軟に疑える「哲学的思考」を獲得できるはずです!

 

・「哲学」に興味のある方は、是非雄弁部へ!

さて、ここまで、「哲学って何?~哲学の神髄とその意義~」、そして「哲学的思考の身に付け方」までを紹介してきました。

以上を読むことを通じて、1人でも、哲学に興味を持った方がいれば、幸いです。

 

最後になりますが、「哲学」に興味を持った方は、是非、雄弁部への入部をおススメします。

「最後に強引に宣伝入れてきたな」と思う方もいるかもしれませんが、これは割と中立的にも言えることだと思います。(宣伝は否定しません(笑))

なぜなら、上記で挙げた「哲学的思考の身に付け方」をもっとも実践できるサークルが雄弁部だからです。

雄弁部は「自己実現と社会貢献」という理念の下、多様なタイプの学生が集まっています。そして、日々の活動を通じて、弁論やディベート、ディスカッションを行っており、多様な考えに触れあうことができます。

また、思考力の高い部員も多く、切磋琢磨しながら、「哲学的思考力」の向上に取り組める環境があります。

 

このような環境を与えてくれる場所は、明治大学では雄弁部しかありません。

これは私の経験談からいえることですが、私は、大学2年次から雄弁部に入部した人間ですが、その理由は、1年次に大学の講義やその他のサークルを見渡しても、他に「多様な人と議論する場」がなかったからです。

 

「哲学」は、私たちが社会で生きていく上で「必須の営み」です。

そのための「哲学的思考力」を身につけたい方とにかく哲学に興味がある方は、

是非、雄弁部にお立ち寄りください。

 

皆さんとお会いし、お話できることを楽しみにしております!