新入生の皆さん。
入学おめでとうございます。
明治大学雄弁部、前代表の原田です。留学・休学・留年など、色々あって、今年度で入学から6年目を迎えました。私が新入生だった頃は遠い昔ですね…。
さて、今回は、新入生の方に向けて、「哲学」の魅力を全二回に分けて紹介しようと思います。「哲学」は、「役に立たない学問」などといった、誤った負の印象を持たれがちです。しかし、私は、「哲学」こそ、社会を生きていく上で、私たちにとって「必須の営み」であると考えています。このコラムを読んで、「哲学」に興味を持つ方が一人でも増えれば、とてもうれしいです。
本コラムでは、
第一回「哲学って何?~哲学の神髄とその意義~」
第二回「哲学的思考の身に付け方」
以上の構成で、お届けします!
また、本コラムを通じて、「哲学」に興味を持った方は、是非雄弁部への入部をおすすめします。その理由は、コラムの最後に述べたいと思います。
それでは、コラムをお楽しみください!
第一回「哲学って何?~哲学の神髄とその意義~」
・「哲学」って何?
そもそも、「哲学」ってなんでしょう。
いろんな定義がありますが、めちゃくちゃ簡単に言ってしまうと、「疑うこと」だと、私は思います。
日々の生活の些細な出来事から、普遍的で大きな物事まで、全てを「疑うこと」が哲学という営みです。「何で大学生になると早起きできなくなるのか」を疑うことも、「なぜこの世から戦争がなくならないのか」を疑うことも、「哲学」です。
・哲学の神髄
「哲学とは、『疑うこと』だ」と聞いて、「そんな簡単なことなの?」と思う方もいるかもしれませんが、実際、「疑うこと」は簡単なことではありません!
考えてみてください。
皆さんは、普段生活している中で、自分の身の回りのことに、「疑い」を持つことがどれほどあるでしょうか?多くの方は、日々の出来事に対して、ほとんど疑問を持たず、生きているはずです!
例えば、朝寝坊して「なぜ私は朝起きれないのか」なんていちいち考えないし、ニュースを観ながら、「なぜアフリカの紛争は終わらないのか」など考えません。
しかし、日々の出来事を疑ってみると、不可解なことだらけです。例えば、私たちの多くは、「当たり前」のように、大学に入学したわけですが、「なぜ大学に行くのか」という疑問を考えてみると、意外と答えが出ません。
「将来役に立つから」でしょうか。
しかし、大学に行かなくとも、経済的に成功している人はいるし、幸せに生きている人もたくさんいます。それでも何故、あなたは大学に行くのでしょうか?
疑問を深堀りすると、より答えが分からなくなってきますね。
このように、私たちは、日々の生活で起こる出来事に対して、それが実は不可解なことであっても、「当たり前」「常識」のように受け入れているのです。そして、まさにこの「当たり前」過ぎて、誰もが疑わない「常識」に、疑問を呈することこそが、「哲学の神髄」であり、難しさでもあるのです。
・哲学の意義
では、「哲学=疑うこと」には、どういった意義があるのでしょうか?
それは、一言で言えば、私たちが社会を生きていく上で「最大の武器になること」です。
例えば、皆さんは、歴史上の発見や改革が、どのようなきっかけで生まれたかをご存知でしょうか。
それらの全ては、誰かが「疑い」を持つことから始まっています。
例えば、「万有引力の法則」の発見は、ニュートンが「何故、りんごは木から落ちるのか」という「当たり前の常識」に「疑問」を持ったことがきっかけだったことは、あまりに有名な話ですね。
その他にも、例は枚挙に暇がありません。
・「天動説」に疑問を持ち、「地動説」を唱えたガリレオ・ガリレイ
・カトリックの教義に疑問を持ち、宗教改革を導いたルター
・人種差別に疑問を持ち、黒人の権利向上を指揮したキング牧師
などが挙げられるでしょう。
さらに言うと、学問の起源も、古代ギリシャの哲学者・タレスが「世界の森羅万象」に疑問を持ったことから生まれたと言われています。
このように、古代から現代に至るまでの発見や改革の原動力となった人物たちの多くは、「当たり前」や「常識」を疑う「哲学的思考」を持っていました。
このことは、ビジネスの世界でも通用します。
スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツと言ったビリオネアたちも「常識を疑う」人たちでした。
・「大学の価値」に疑問を持ちドロップアウト。
・「企業に勤めること」に疑問を持ち起業。
彼らに「常識を疑う」「哲学的思考」が無ければ、これらの行動は実行出来ず、大きな成功もなかったでしょう。
とても大きな次元の話になっているので、腹落ちしやすいように、より身近な例を挙げると、
「哲学」は、部活やサークル、バイト先の「課題解決」にも活用できます。
皆さんの所属してきた組織を想像してみてください。
その組織には、惰性で続く慣習やルール・練習などがあったはずです。
そしてそれらの中には、所属当時は「当たり前」だと思っていたけれども、組織から離れて振り返ってみると、「無駄だった」と思えるものも多くあるのではないでしょうか。
もし、「哲学的思考」を持っていたら、それらの「無駄な常識」に疑問をもち、それを変更することで、組織課題の解決を導くことができたはずです。
沢山の例を挙げてきましたが、これで、「哲学=疑うこと」が、私たちが生きていく上で「最大の武器になる」という意義が、大げさではないことが理解してもらえたのではないでしょうか。
では、第二回では、私たちが社会で生きていく上で欠かせない「哲学的思考」を、
どのようにして身に付けるのか、についてお話ししたいと思います。
ではまた!