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演題 「核への抑止力」

弁士 中島渚(法1)

【導入】
 破壊され廃墟となった街。汚染された国土。焼かれた国民。黒いしみになった人間。そして、8:15を指して止まってしまった時計。広島で見たこの光景の記憶は、私に強く、衝撃を与えた。そして決意した。広島、長崎の悲劇をこの日本国土の上で二度と起こしてはならない、と
 しかし、その願いとは裏腹に、いま日本は再び核の脅威にさらされている。第二次朝鮮戦争の危機だ。
 もし現代の東京で原爆がさく裂したら。東京は膨大な人口を持つ世界都市、被害は計り知れない。東京は関東平野の中心にあり、爆撃を和らげてくれる山もない。一説には50万人もの人が亡くなると言われている。今の情勢において、このような惨禍が起きない保証などあるのだろうか。
 このような惨禍を再び私たちの国土で起こしてはならない。断固として、何としてでも、どんな手を使おうとも!私たちは核を撃たせないような努力をしなくてはいけない。
本弁論は、北朝鮮の核攻撃に対しての抑止力を提案するものである。
【現状分析 問題点】
現在の北朝鮮は日に日に核ミサイルの射程距離を伸ばしてきている。今年の9月から核実験を6回繰り返しその中には日本の上空を超えたものもある。着実にミサイルの性能は上がっている。
その危険に対して、現在の日本はアメリカとの連携を強力にして北朝鮮の核を廃絶させるように動いている。具体的には経済制裁をしてなるべく武力を行使せずに核開発を辞めさせるという体制だ。しかし、いくら経済制裁を行っていても、北朝鮮は核開発を辞めず、むしろだんだん過激にしているのだ。これは、北朝鮮が今や核があるおかげで存続している国である以上、核を手放してしまえばアメリカに潰されてしまうことを恐れているからである。そのため、簡単には核兵器を放棄させられない状況に陥っている。
こういう非常事態から守るため、現在日本は二段構えの対策を取っている。それは、防衛力の強化とアメリカの核の傘に入ることである。
まず、防衛力の強化について
日本は北朝鮮の弾道ミサイルに対しイージス艦とPAC-3という二つのシステムで防衛を図っている。この二つのシステムは今のところどちらの成功率も80%~90%、確率は非常に高い。しかし1発でも着弾すれば被害は甚大であるため100%安心できない。さらにこれらの確率はミサイルが飛んでくると分かったうえでのものであり不意を突かれた発射には対応できない。
つまり現状、日本のミサイル防衛は力不足である。
 政府も、ミサイル防衛の不備を認識して、北朝鮮にミサイルを打たせないためにアメリカの核の傘に入っています。
核の傘とはアメリカの核による抑止力のことである。しかし、この抑止力は確実ではない。なぜなら、アメリカは自国の危険を冒してまで同盟国を守ることはしないからである。現在北朝鮮のミサイルの射程距離はすでに、グアムまで届いている。アメリカが同盟国である日本を守るために北朝鮮を攻撃した場合、アメリカは北朝鮮から報復攻撃をされる危険がある。そのため、アメリカの核の傘に入っていても北朝鮮の脅威に対する決定的な抑止力にはならない。
このように現在の日本の状態では北朝鮮のミサイルに万全の対策が取られていない。
必要なのは打たれてからの対応ではなく、いかに打たせないかということである。
そのためにも北朝鮮への決定的な抑止力が必要なのだ。
【解決策1】
 今まで、北朝鮮の核への抑止力として対話と経済制裁が行われてきた。しかし、北朝鮮は会話にも応じず、経済制裁も堪えていない。このような北朝鮮に対する決定的な抑止力とはいったい何なのか。
それは核である。核による抑止だ。
過去の歴史から見ると核兵器保有国同士の間に直接的な戦争は起こっていない。またインドとパキスタンも核兵器をそれぞれ保有したことによって和平のテーブルに着いた。核に対する抑止力は間違いなく核しかない!!
そのため私は日本が核保有をすることを提案する。自国が核保有すればほかの選択肢に共通する確実な反撃能力をがないという点を解消できる。自国に核兵器を配備し日本独自でスイッチを押す体制にできればによって反撃することを感じさせる抑止力になる。さらに自ら保有することで北朝鮮に対して反撃能力もアピールでき、北朝鮮が軽率にミサイルを打つことを抑えることができる。
もちろん、核の利用は一歩間違えれば大きな危険を伴う。しかし、日本は唯一の被爆国である。私たち、日本人は核攻撃による惨禍を身をもって経験した。そんな、私たちが核を使ってほかの国を攻撃することがあるだろうか?
日本人だからこそ、核を平和利用できると私は信じている。
【原因分析】
しかしながら、現在日本は核を保有していない。その理由は大きく二つある。それは憲法への解釈と条約による核の制約である。
まず憲法への解釈について
憲法9条によって日本は核を持てていないと言われている。しかしながら厳密にいえば憲法上日本は必要最低限の戦力を持つことは認められている。そして現状の日本は明らかに核攻撃の危険にさらされており核に対する有効な抑止力はいまのところ核でしかないためこの理屈は通る。さらに政府は去年の4月に「憲法は核兵器保有を禁じず」として政府答弁書を決定した。つまり、憲法は核兵器の保有を禁じていない
次に、条約による核の制約について。
日本はアメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス以外の国が核兵器を持つことを反対するNPTという条約に署名している。これでは日本は核兵器を持てなくなってしまう。だがここにも核兵器を持つ道理は存在する。それはこのNPTから脱退すればいいのである。確かにNPTに脱退し核兵器を持つことは一見暴挙に聞こえるかもしれない。しかしそんなことはない。今や日本はアメリカから見て北朝鮮に対する重要な存在である。その日本が核武装することになれば北朝鮮に対して大きな衝撃を与えることができる。また過去にアメリカはNPTに署名していないインドがテロとの戦いを進めるうえで必要だったため、そして核兵器を管理できる能力があるとして核保有を認め支援した。つまりアメリカに対してプラスに働き、核兵器を管理できることが認められれば日本が核保有できる可能性は高い。
【解決策2】
では核保有するといってもどうやって保有するのかが問題となってくるはずだ。
では、どうやって核を保有することができるのであろう。そこで私はアメリカから購入するという方法を提案する。この購入案は二つメリットがある。一つ目は迅速に核兵器が使えることだ。自前で開発することも現在の日本の技術力では可能だが開発するのには少なくとも1年はかかると言われている。また実験する場所もないため、核兵器の使用までかなりの時間と手間がかかる。しかし、もし購入してしまえばそういった壁を簡単に超えられる。もう一つは低コストであることだ。自前で開発し、仮に実験ができたとしてもその一連の行動をとるにはかなりの費用が掛かる。アメリカから購入することで費用は購入分だけに抑えられる。 このように、アメリカから核兵器を購入して北朝鮮への決定的な抑止力をかけることができる。
【展望】
以上は、私は日本が核保有によって北朝鮮からの攻撃を抑止することができる未来を描いた。
 しかし、この未来は実現できるかどうか、今この会場にいる皆さん、この土地で生きている日本の皆さん次第なのだ。
現状、日本国民は核保有に対して反対意見が多い。
「核は悪だ!」
「日本は平和を守るべきだ!」
確かに、その通りである。核兵器の恐ろしさは唯一の被爆国である私たちが一番知っている。
でも、そうだからこそ日本ほど核の平和利用をできる国はないと言える!!!
北朝鮮のように核を絶対手放さない国に対して、われわれはいつまでも撃たれないという可能性だけに目をやるのではなく、自分たちから撃たせないといった姿勢を取るべきなのではないだろうか。
核兵器というのは使い方を間違えれば、最悪な兵器となってしまう。しかし、抑止力として使えば最強の盾になる。だから、北朝鮮の最悪の核兵器を抑止するためには最強の盾でもある核兵器を日本が使わなければならない。
私はこの最強の盾で日本を守りたい!!これからの日本国民が生活する土地を守りたい!!・・・
二度と核攻撃をされないように、ここにいる皆さん!日本人の皆さん!「日本は核を保有しなければならない」!こういう覚悟を・・決めらなければならない!
 ご清聴ありがとうございました。



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