【導入】
我がふるさと、北海道は、でっかいどう!
皆さんは北海道に行ったことがあるだろうか?
広大な土地、目の前に広がるのは、遠く地平の果てまで続く畑・放牧地。
それらが生み出してくれるのは、のびのび育った採れたての食材からなる絶品の料理たち!
しかし皆さん想像できるだろうか?
その、地平線を形作る美しい農地が全て耕作放棄地になるさまを。
地元の農産物が消えうせ、私たちの食卓には海外産の食べ物ばかりが並ぶ様を。
これは何も北海道に限った話ではない。
日本全国の農地でも将来起こりうることなのだ。
私は一体何のことを言っているのか?
そう、環太平洋戦略的経済連携協定、通称TPPの到来だ。
【TPPによって変わること】
TPPへの参加によって日本農業のいったい何が変わるのか?
一番大きな変化といえるのは、ずばり関税撤廃による外国産農産物の大量流入である。
それが起こるとどうなる?日本人消費者は安価な外国産農産物へシフトし、国内農家が衰退してしまうのだ!
これは、農林水産省が試算した、TPP参加後の農業総生産4.5兆円減額という数字にも表れている。
特に今まで高関税をかけられ保護されてきた作物に関しては、その競争力の低さゆえに淘汰されてしまうことは容易に考えられる。
例えば、今でさえ38.5%の関税がかかっている牛肉でも海外産のほうが安い現状がある。
ここから関税がなくなれば価格崩壊が起こり、消費者がどう動くかは目に見えている!
では淘汰されることのいったい何が問題なのか?
まず単純に作物の生産量が下がることは明らかだろう。
そして生産量が下がると食糧自給率も下がる。
そしてその先に見えているのは、国家の安全を保障するうえで非常に重要な問題、つまり生活の根幹をなしかつ重要な外交カードのひとつでもある「食糧」を他国に牛耳られてしまうことである!
日本の農家はまだTPPの衝撃に耐える力が、戦う力が備わっていない。
そこで本弁論である。
本弁論では!今後国際競争にさらされる日本農家のために、日本農家の成長の確固たる基盤を作るために!
一つの政策を提示させていただきたいと思う。
【解決策提示】
結論から言おう。
その政策とは、補助金政策の見直しである。
なぜ私がここにきて、さして目新しくも面白くもない補助金政策に結論を見出したのか。
その点も交えつつ、説明していこう。
【現状・問題点】
現在日本に存在する農家の総数はおよそ253万戸。
そして農業の総産出額は8兆2463億円。
TPP参加後に外国産農産物が流入してくれば、先にも述べたように生産額は4.5兆円も減額し、日本の食卓から国産品がどんどん消えて行ってしまうだろう。
なぜこんなことが、起こるといえるのだろうか?
ここでは、農家の成長を妨げる根本的原因に絞って説明していく。
それは日本農家が抱える構造的な問題、すなわち、農家が農業収入を十分に確保できていないことに起因する。
農家にはいくつかの区分が存在するが、ここで1つ、専業農家と呼ばれる区分の農家を例にとってみよう。
専業農家とは、その世帯の中に農業以外から収入を得ている人間がいない農家、つまり彼らの収入は100%農業収入ということだ。
彼らの世帯数は約41万戸。
これは農家全体の15%にしか満たない!
この専業農家と、農業所得が全体の50%以上である主業農家を除けば、7割以上の農家が農業所得を十分に確保できていないことになる!
この状況を放置したままTPPに突入すると、国内農業が修復不可能な打撃を受けることは間違いない!
つまり、完全自由貿易下では、ただでさえ少ない農業収入がさらに少なくなってしまう。
そのことから農業から撤退してしまう農家が増え、日本の農業が縮小してしまうのだ!
ではどのような対策をすればよいのか?
私は、この弁論を作るまでずっと考えてきた。
なぜ、このような問題が起こるのか。
それは、日本の農家に、お金がないからだ!
農家の平均総所得は平成23年ではわずか463万円。
そのうち農業に依存している割合は120万円で、これは全体の42.6%でしかないのだ!
その中でも専業農家の年間所得は平均して200から300万円という現状だ!
この数字は非常に残酷な現状を表している。
すなわち、十分な収入が無いことにより設備投資や人件費に費用を回せないのである。
そのことにより、いつまでたっても成長の基盤を作れずにいるのだ。
少ない。あまりにも少ない!
仮にも国の基幹産業である農業で生計を立てている人々の年収がこれでは、安定的な経営など到底臨めたものではない!
安定的な経営ができなければその先にある成長もとても難しいものとなってくる。
成長しなければ!外国と戦うことはできないのだ!
【解決策】
そこで、以上をふまえ、今後の農家を守り、そして成長への基盤を作るために一つ提言をさせていただく!
それは、農業者戸別補償制度の改良である。
農業者戸別補償制度とは、2007年に民主党が提案した農業政策である。
どのような制度なのか。
これは、国・地方自治体が策定した生産数量目標に即してコメ、大豆などの主要農産物の生産を行った販売農業者に対して、生産に要する費用と販売価格との差額を基本とする交付金を交付する政策である。
たとえば、豊作で作物が取れすぎ、生産価格が販売価格を上回ってしまい赤字になったとしても、その差額を政府が保証するという政策だ。
これをどのように改良するのか。
まず、対象となる作物を主要作物ではなく、すべての作物にする。
対象となる作物を定めないため、稲作、畑作、畜産などすべての農家に対して補助金がいきわたるようになっている。
日本の少ない土地の中で、農業を糧に生活していき、果ては海外との競争にもさらされる中、農家が生き抜くには莫大なお金が必要なのだ!
【展望】
今年の10月初旬、インドネシアで行われたTPPの交渉において「参加各国が全品目の関税を撤廃する自由化の原則を維持することで一致し、閉幕した」という事実が公表され、世間をにぎわせた。
自民党がかねてより死守すると言い張ってきた聖域の設定は事実上不可能となり、完全自由化の流れで交渉が進むことがほぼ決定した。
もはや待ったなし、外国の作物が日本の食卓を今か今かと狙っているのだ!
だが日本の農家には戦う力がまだ完全には備わっていない。
先にも述べたが私はTPP賛成派だ。
TPPが日本のためになると信じているが農業だけは看過できない。
戦う基盤さえ整えば、きっと!日本の農家も外国と互角の勝負ができると信じている。
そう、日本の農家は金の卵なのだ。
ご清聴ありがとうございました。
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