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演題 「日本経済改造論」

弁士 高岡瞭 (営1)

【導入】
皆さんわれわれが生まれてから10年、20年日本はどのようだったでしょうか。
バブル崩壊、デフレスパイラル、そしてリーマンショック、これらにより日本経済は低迷を続けてきました。
また今日でも世界経済の悪化、歴史的円高でますます混迷を極めております。
そのことで日本中に閉塞感が漂っています。
大学卒の内定率も低くわれわれもうかうかしていられません。
このような時代に生まれ育ったからこそわたしたちはこのことに目を背けてはいけません。

【現状】
現在景気低迷が続いており、先行きは依然不透明である。
実際に1991年から2011年までの経済成長率の平均を見ても0.73%でありアメリカの2.6%、イギリスの2.12%と比べても低いことがわかる。
また74年から90年における経済成長率は4.2%と過去との比較でも低いことがわかる。国家にとって経済成長は重要である。
なぜなら経済成長の幅が大きければ大きいほど国の税収はもちろんのこと国民の生活水準も上がるからである。

経済成長とは国内総生産すなわちGDPの拡大を意味する。
経済成長をするには生産の拡大をしなければいけません。
ではその生産の分野に携わるのは何か。
それは企業です。
すなわち経済成長のためには多くの企業が存在しモノをたくさん生み出すことが必要であることがわかります。

しかしながらその経済成長を阻む問題が存在するのです。
それは企業の開業率が低いということです。
開業率とは全企業における1年間に誕生した企業の割合である。
2006年から2009年までに開業率は2.0%であり廃業率は6.2%である。
開業率は廃業率よりも低いため、日本において企業はどんどん少なくなっていく傾向にあるのだ。
外国との比較においてもイギリスの開業率11.8%、廃業率9.5%、アメリカの開業率11%、廃業率9.8%と世界と比較しても日本は低い状況にあるといえます。
実際に他国との比較においても開業率と経済成長率は正の相関関係にあります。
また過去の日本のデータをみても同じことが言えます。
それは生産分野の企業が増えれば生産量が増えるので成長率が高くなるのは説明がつきます。
一方で経済成長をすれば開業率が上がるというデータもあります。
これも過去の日本の統計を見れば明らかなことです。
すなわち経済成長と開業率は互いに絡み合っているということです。
すなわちこのスパイラルともいえる状況を断ち切るにはどちらかに焦点を当てなければなりません。
ここでの重要なのは開業率の上昇と経済成長は広い視点で見た要因だということです。

【問題点】
そこで起業家個人の行動を見るとなぜ開業率が低いのでしょうか。
企業に関する実態調査で行われた起業時および起業後の課題では問題点が2点あります
1点目起業者による資金調達が難しいことと、
2点目人材の確保が難しいことの
以上の2点です。

1つ目の資金調達が難しいことを説明します。
現在起業資金の調達先は8割近くが自己資金となっており、そもそも自分に資金の余裕がないと起業ができない現状にあるといえます。
残りの大多数は借り入れ金ということで将来事業が軌道に乗ろうと乗るまいと返済を余儀なくされるため、有効な資金調達先とは言えません。
またベンチャーキャピタルこれは新分野で創造的・革新的な経営を行う企業である、ベンチャービジネスに対する出資組織、企業でありますが、ここからの出資金はどうでしょうか。
残念ながらこれは起業資金の調達先の割合の2%程度にとどまっており、幅広く利用されていないことがわかります。
このベンチャーキャピタルからの投資で将来の返済がないため、企業にとっては非常に魅力的なものです。

続いて2つめの人材の確保が難しいことです。
自分の欲しい人材を見つけるのが自分の周りからだけでは難しいというのである。
例えば自分は技術職であるが経理や広報、営業をやってほしいという時の人材集めもやらなければならない。
つまりこのような多岐にわたった人材を見つけなくてはならないのです。
また8割の中小企業が人材の不足を感じています。

【原因】
ではこれらの原因は何でしょうか。
1点目情報不足による投資額が少ないこと。
2点目1度失敗するとやり直しが困難であること
以上の2点です。

先ず1点目の情報不足による投資額が少ないことについて説明します。
現在日本公庫による融資、中小企業金融円滑化法による貸出の増加、これらによって資金面は充実しているように見えます。
しかしながらこれらは貸付なため返済を余儀なくされ経営者にとっての負担は全面的に軽減されるとは言えません。
一方で投資はそのようなリスクはあrません。
実際に欧米の投資額は割合で日本の30倍もあるのです。
そもそもベンチャービジネスに対する投資はその企業が上場していないということもあって、
その企業に関する情報が出ないことが多いのです。
実際にベンチャー投資に対するアンケート調査を見ると投資をするのに必要なのは70%の人が情報公開であると言っております。

続いて2点目の1度失敗するとやり直しが困難であることについて説明します。
これは今就業している人がその仕事を辞めて起業もしくは新たな仕事に従事することに踏み切れないということです。
つまり自分の好きな分野興味のあることに従事しようとして仕事を辞め新たなことを始めたのはいいがいざ失敗したら、もうお先が真っ暗になってしまうということです。
実際に中途採用の枠も減少傾向にありますます困難な状況に陥ると考えられます。
結局これは労働市場の流動性が高くないため企業側としても簡単に正社員を雇えないという事情がある。
実際に流動性の高いアメリカと比べても長期失業者の割合は日本のほうが3倍も高いのです。
新卒採用に比べ中途採用が多い中小企業にとって雇用の流動化は必要です。
現在人材育成事業やキャリア形成促進など行っているがこれらの政策はすでに顕在化している人材を育てるものである。
しかし今必要なのは幅広く、また顕在化していない人材を送り出すことが必要である。

【解決策】
それではこのようなこれらの問題を解決するにはどうしたらよいのでしょうか。
2つの政策を挙げます。
1点目、日本ベンチャーキャピタル協会の会員を増やすこと
2点目経営の合理化のための解雇を有効とすること
3点目年齢差別の禁止
以上の3点です。

先ず1点目の国が民間と連携し投資を促進することを説明します。
これは国が日本ベンチャーキャピタル協会と連携してベンチャー関連の投資を促進し、企業家の資金調達を容易にすることです。
先ず日本ベンチャーキャピタル協会はベンチャーキャピタリストこれはベンチャー投資に関する専門的な知識を持って運営にあたる人やベンチャーキャピタルを会員に持っており、相互に連携してベンチャー企業を支援している組織です。
この組織はベンチャーキャピタリスト検定などを実施しており、
ベンチャー関連の投資のノウハウを持っております。
しかしながらこの協会には個人投資家などが会員として入っておりません。
この協会は2002年に発足したこともありまだ歴史が浅く事業規模が小さいのです。
だからこそ国と連携して起業家や個人投資家、ベンチャー企業の就業希望者などを会員に入れ事業規模を拡大する必要があるのです。
そうすることで彼らの交流の機会ができるので、情報の共有ができ、
また共同して起業やベンチャービジネスへの投資ができるようになるのです。
現在日本においても株式の投資額、投資家数は増加傾向にあるためその人たちをいかにして取り込むかが重要である。

続いて2点目の経営の合理化のための解雇を有効とすることについて説明します。
現在ベンチャーを含めた中小企業にとって人材の流動化は中途採用が多い現状から見ても必要です。
経営の合理化のための解雇を有効とすることで経営状況解雇が容易になるため一方で人を雇いやすくなります。
そうすることで人の動きが活発になります。
だが新卒と中途採用の区分けがありその分野では流動化がしておりません。

そこで3点目の年齢差別の禁止です。
これは採用時に年齢制限や卒業から何年などといった年齢による制限をなくすことです。
これによって新卒採用と中途採用の境がなくなり通年採用の方向に向かうと考えられます。
これは職を失った人や新卒採用にあぶれた人に対しチャンスを増やすことが目的であり、より一層人材の流動化が進みます。

こうして起業と企業に必要なものをそろえ日本に企業を増やしていくことで、開業率を上げ、モノの生産を増やし持続的な経済成長を成し遂げられる社会を作り上げていきたいと考えております。

【展望】
過去の日本において企業は少なく生まれて少なく死ぬ、いわゆる少産少死で先進国の真似をしていれば成長ができました。
経済大国となった現在においてむしろ自分でフロンティアを切り開かなければなりません。
その先端に行くには企業は多産多死で新しい分野が生まれる可能性を大きくしなければなりません。
その意味において日本の経済の構造の転換であり、日本経済の改造なのです。
ご清聴ありがとうございました。


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