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演題 「これからの”性義”の話をしよう」

弁士 金子 知温 (政1)

【導入、期待するー!が収まって1拍】
私、デキちゃったみたい(暗く)
この言葉をかけられた時、私たちは大きな決断を迫られます。
端的に言って、生むか、堕ろすか。
多くの人にとって、育児とは喜びであり、生き甲斐たりえるものです。しかし、状況によっては、生む決断をすることが極めて不可能である人もいます。

私の友人も、彼女とセックスをして、中絶をしました。友人が心配していたのは、相手の親への対応や、今後の交際に関する事でした。そこで私が憤りを感じたことがあります。それは友人が、何よりも考えなければならない子供の命ということに興味すら持たなかったことです!

無責任に芽生えさせられ、無責任に殺された命。成長すれば私達のようになることが想像できないのでしょうか。
育てる気もないのに無責任なセックスをする。罪に問われないからといって授かった命を平気で殺す。このままでは中絶が日常化して授かった命を平気で殺すような社会になってしまいます。
そう、正に今、我々が考えなければならないのは「これからの“性義”の話」なのです。
私が本弁論で目指す社会とは、授かった命は責任を持って育て、また、育てる気がないなら無責任なセックスをしない社会の形成にあります。
このような社会が形成出来れば、23万人もの悲惨な中絶は減少し、命は大切に扱われます。
この先、どんな幸せな生活を営むのかもわからない子供達の命。
問題は口がきけないのをいいことに、年間で23万人もの大切な命が、大人の都合で理不尽に未来を奪われていることです。

【現状分析】
ではなぜ理不尽な中絶をしてしまうのでしょうか?
中絶した人のうち「妊娠した場合は中絶しよう」と妊娠前から決めていた人は9割にものぼります。
これらの人々はセックスをしている時から妊娠した場合、中絶をすることが分かっていたわけですから、事前に避妊する事が出来たはずです。
では、中絶をした時の避妊状況はどうだったのでしょうか?
実は中絶した人のうち48%は、避妊していたにも関わらず妊娠してしまっています。
一方で、避妊しなかった人も52%いました。
つまり、中絶に至った人の半数は避妊しているのに妊娠してしまい、もう半数は、そもそも避妊すらしていない現状なのです。

【原因分析】
ではこうした問題を発生させている原因はなんでしょうか。
原因は二つあります。
1点目、正しい性認識がないこと
2点目、確実な避妊手段が選べないこと
の2点です。

1点目の正しい性認識がないこととは、国民が避妊や中絶に関する正しい知識を持っていない、ということです。
避妊をしない理由として最も多かったのが「準備していない」続いて「多分大丈夫」そして「言いだし辛い」でした。
この避妊意識の低さはどれも性教育の怠慢が引き起こしています。
これらについて教育すべき保健の教科書では、文字による説明で軽く触れられているだけです。学習指導要領の記述を見てみても「避妊」や「中絶」という単語すら出てきておらず、これらの内容が軽視されています。

二点目の確実な避妊手段が選べないこととは、手軽に利用できる避妊手段が確実性に欠けるものしかないという事です。
実際、先に述べた通り48%もの人が避妊をしていても妊娠してしまい、中絶をしています。
確実性に欠ける避妊手段の内訳としては40%が膣外射精、55%がコンドームによる避妊でした。妊娠する確率は膣外射精で19%コンドームでは14 %となっています。

つまり、これらの方法は博打的要素が強く、確実性がありません。
しかし日本では、これらの避妊法を使う人が、全体の90%を占めています。
一方で妊娠確率が0.1%で、絶対的な避妊効果が期待できるものが存在します。それはピルと呼ばれる経口避妊薬です。しかし現状では、副作用が怖いこと、服用が面倒であること、経済的負担が大きいことの3点を理由に敬遠されています。
その結果ピルの使用率はたったの2%と、世界的に最低レベルの使用率となっています。

【解決策】
そこで問題解決に向けた政策を2点、提示したいと思います。
1点目、中学校学習指導要領の改訂
2点目、ピルの推進
の2点です。

1点目の「中学校学習指導要領の改訂」とは、既存の性教育を改善し、避妊の徹底と正しい方法及び中絶の残虐性を理解させるものです。
今後、中絶の悲劇を繰り返さないために必要な事。
それは既存の性教育に欠如している、避妊意識の定着。避妊法に関する正しい知識の習得。中絶の残虐性理解の三点を国民の義務である中学校までに全生徒に徹底させることです。

現状、性教育が軽視されているのは、先の分析で述べた通りです。
このような状態で、ましてやその悲惨さや重要性を伝えるのが不可能なのは無理もないでしょう。
そこで、問題性を際立たせるために、避妊意識の徹底と中絶の残虐性を伝える視覚的教材を導入します。
また実際にセックスに臨む場面に遭遇した時に、適切な避妊法をどう選択すべきかを、医師の指導のもとで授業を行います。
これらの性教育を実際に実施している大阪や静岡などでは、他県と比較して中絶率が30%も低くなっています。
視覚的教材と医師による指導。
この二つを指導要領に盛り込むことで全国一律に、正確な性教育を行い。既存の性教育に欠如している三点を解決します。
2点目のピルの推進は、ピルを全国的に普及させ避妊の失敗をなくすための政策です。
ピルを普及させるに当たって必要な事はなんでしょうか?
それは敬遠理由の解決と更なる使用啓発活動の実施です。
ではまず、敬遠理由のトップであったピルの副作用についてです。
これは1点目の政策で挙げた指導要領の改訂と深く関連します。
新たな性教育で避妊手段の効果と副作用について正しく解説し、医師の指導のもとで使用すれば何の心配もありません。
続いて服用が面倒であることについてです。
こちらは使用啓発活動と大きくかかわっています。
実はピルには避妊のほかに副次的な効果として女性に魅力的な様々なメリットがあります。
具体的には生理周期の安定、生理痛の緩和、ニキビの減少などです。母子衛生研究会が作成している『思春期のためのラブ&ボディBOOK』というピルの効果と利点について詳しく解説された雑誌があります。
これを中学校で配布しコンドームを販売しているコンビニやドラッグストアに設置します。
また、女性誌への広告やキャンペーンカー、テレビCMなどのメディアを利用して一般への周知も行います。
これらのメリットを強調することでピルの利用意識の改善が図れます。
最後に経済的負担が大きいことです。
ピルを使用するためには受診料や指導料込みで最低でも年額3万6千円と他の避妊法と比べ極めて高額で経済的余裕のない人は手が届きません。

これを解決するために前述した財団法人、母子衛生研究会にピル推進助成金を支出し、高額なピルの負担を一部肩代わりさせることで、ピルの単価をコンドーム並に引き下げます。
この政策で一般の人々にピルを普及させるのは勿論のこと、資金面で余裕のない人でもピルが手に入れられるようにします。
以上の敬遠理由の解決と、更なる使用啓発活動の実施でピルを普及させて避妊の失敗をなくします。

【展望】
育てる気もないのに無責任なセックスをする。罪に問われないからといって授かった命を平気で殺す。これらの勝手を許さない社会。
このような社会が形成出来たならば23万人の悲惨な中絶は減少し命は大切に扱われます。

私は命を大切に育む素晴らしい社会をつくりたい!(半キレ、3拍置く)

私、デキちゃったみたい(明るく)
この一言がいつでも至福の一言となるような社会を目指して、これからの「性義の話」をしていこうではありませんか
ご清聴ありがとうございました。



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