【導入】
学校、医療、道路など、これらはわれわれの生活の基盤です。
これらのものを作ったり、運営したりするには国の予算が必要です。
国の予算がそれらに割り当てられるかどうかは、国の財政状況によって決まります。
つまり、国の財政が我々の生活基盤を支えているのです。
しかし現在、その財政に危機的な状況が訪れようとしています。
現在、日本の借金は約950兆円もあり、さらに毎年約40兆もの借金をし続けています。
このつもりに積もった借金はいずれ国民が税金の形で返さなければいけません。
今のままだと日本の財政はどのようになるでしょうか。
具体的には2つのことが起こります。
1つ目が、利払い費の増大。
2つ目が、財政破綻。
以上の2点です。
1つ目の利払い費の増大 とは、借金が増えることにより、借金の利払いにかかる費用がさらに大きくなることです。
現在、日本の歳出において21兆をしめる借金返済額の内10兆円が利払いにあてられています。
利払い費は、お金を借りたためだけに生じたお金です。
つまり、これは借金をしなければかからないお金なのです。
この10兆があれば、現行の年金の倍の額が支払えます。
それだけのお金が、借金をしているためだけに無駄に流れています!
そのお金が更に、増え続けてしまうのです!
2つ目の財政破綻とは、国が借金をできなくなり、予算を割り当てられない状況に陥ることです。
日本人の貯蓄は1400兆あります。
そのお金が国債を買うのに使われた後は、誰が国債を買えるのでしょうか?
買い手がいなくなった時点で、国は借金ができなくなり、残りの借金を返せなくなります。
経済学者 桜川昌哉氏の試算では、破綻が約10年で日本で起きようとしていると指摘しています。
またIMFも、先日日本に対し2017年までに消費税を15%にするよう提言しています。
これは日本の財政破綻を懸念して提言したものだといえます。
実際に破綻すると、どのような事態になるのでしょうか?
韓国では、1997年に経済破綻が起きています。
ウォン安により、輸入品の価格が高騰し、
食料不足により海外から食糧支援を受けるまでになりました。
生活困窮により、略奪が横行し、治安悪化を招き、不安定な情勢となったのです。< /br>また、2010年に財政破綻したギリシャでも、消費税は19%から23%に引き上げられ、年金支給額も2割以上削減されました。
その結果老後を安心して過ごせなくなってしまいました。
日本を、こんな暗く先行きの見えない世の中にしてはいけないのです。
私たちの生活の基盤である財政が破綻し先ほど述べたような、悪夢のような生活を回避しなければなりません。
確固とした財政の下、わたしたちが普通の生活を続けられることこそが本弁論の目的であり、理想の社会であります。
今まで述べたとおり、現在私たちの生活基盤が危うい以上、財政を立て直す必要があるのです。
【問題点】
ですが、財政状況を建て直すために、解決しなければならない問題点が2点あります。
それは
1点目「消費税が増税できない」
2点目「消費税を増税しても効果が見込めない」という問題です。
では「消費税の増税」がなぜ財政再建に最も必要なのかを説明します。
その理由として、「支出の削減」では、効果が薄いことが挙げられます。
支出を減らす例として、無駄の削減が挙げられますが、民主党政権で行われた事業仕分けでは1.7兆円。
公務員の人件費2割カットでも、5兆円程度しか捻出できません。
つまり、支出を減らす事では額が小さく、到底財政再建はできません。
そのことから、収入を増やす事を第一に考えねばならないのです。
しかし現状、消費税を増税できない、増税しても効果が見込めない状況にあります。
【原因】
・消費税を増税できない原因として、現在、景気が悪いこと。
・増税しても効果が見込めない原因として、消費税増税後、買い控えが起こること。
がそれぞれ挙げられます。
まず消費税を増税できない原因である、景気が悪いことについて説明します。
消費税とは、各家庭や個人に、一律にお金の負担を強いるものです。
現在景気が悪いために、国民は苦しんでいます。消費税増税はそこに更なる苦痛を強いるため、反発を招き導入できないのです。
それでは、なぜ景気が悪いのでしょうか。
それは、お金が回っていないためです。
お金が回っていないとは、個人が消費を減らし、店としてはモノが売れなくなる、これが全国的に広がっている状態を指します。
1991年、消費が活発に行われたバブル期の日本の貯蓄額が約1000兆円であります。
現状の貯蓄額は1400兆になりますから、この差の400兆円ものお金が当時と比べて市場に回っていない現状にあるのです。
その結果、現在の景気の低迷が起こっているのです。
続いて増税しても効果が見込めない原因である、消費税増税後の買い控えについて説明します。
買い控えとは、消費税増税後、各家庭で使えるお金が減ってしまうため、節約をしようという動きが出ることです。
もし買い控えが起きると、景気悪化を招き、税収全体の落ち込みを招く可能性があります。
元々消費が低迷しているため、更なる買い控えによって増税しても、税収が見込めないのです。
【解決策】
そこでこの問題を解決するために2つの提案をします。
1点目、貯蓄税の導入
2点目、相続税、贈与税の増額
の2点です。
先ず1点目の、「貯蓄税の導入」ですが、貯蓄税とは文字通り、日本にある貯蓄に課税する政策です。
具体的には、金融機関に預けている預金が1000万以上ある人に対し、税を2%かけてやるものです。
貯蓄税を導入すると、税として貯蓄がとられるため、そのお金を投資や消費に走ろうとする動きが出てきます。
つまり、消費が増えるのです。
例えば、銀行に預けているよりも土地を買う、他にも税でとられるならば贅沢のために使おう、ということが起こりえます。
消費が活発に行われれば企業は儲かり、その結果給料が増え、さらなる消費を増やすことができます。
エコノミストの白川浩道によると家計消費のうち意味がなく貯められている貯蓄が150兆から200兆あります。
貯蓄税をかければ、この150兆から200兆ものお金が市場に回るとのことです。
貯蓄税は、政府がお金を使わずに消費を促すことができる政策なのです。
また、1000万以上持っている人の預金額は約650兆円です。
貯蓄税の税収はここに2%ですから13兆もの税収が見込まれます。
続いて2点目の、「相続税・贈与税の増税」は、銀行預金からたんす預金に移すのを防ぐ目的で行う政策です。
貯蓄税の導入により、銀行預金からたんす預金にうつす人が出てくる可能性があります。
そこで、相続税・贈与税の増税をして、たんす預金に移すのを防ぐのです。
具体的には、預金に25年間以上の間、連続で入れた形跡のないお金は相続税や贈与税40%の増額の対象にします。
こうすることでたんす預金に移すのを防ぐことができます。
この貯蓄税の導入で貯蓄を消費に回し、相続税・贈与税の増税でタンス預金に流れる貯蓄を遮断します。
その結果、日本の貯蓄は消費に回り、景気を回復させ、消費税を増税できるようになるのです。
IMFの提言に従い、2017年までに消費税を15%に増やせれば、その税収は25兆にもなります。
貯蓄税の収入とあわせると、税収が38兆も増えることになるのです。
日本の歳入の元本を除いた借金分約29兆はこの38兆で補え、残りの余った9兆は借金の元本の返済に充てることができます。
すなわちこれからは借金を返すことができます。その結果、徐々に借金は減り、財政を再建できるのです。
【展望】
以上の税収で、これまでの借金を賄うことができるようになり、今ある借金を減らせます。
よって、財政は再建され、われわれの生活の基盤は守られます。
財政を立て直し、安心して子供を産める社会、老後の生活を安定して送れる社会を私たち自身で作っていきましょう。
御清聴ありがとうございました。
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