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演題 「あなた=消費者」

弁士 西村真紀 (政1)

この、会場にいらっしゃる方々の中で、自分は消費者ではないと断言できる方はいらっしゃるでしょうか?
おそらく、手を上げる人はゼロでしょう。この、現代日本において、すべての人は消費者、なのです。
ですから、日本国民は、全員消費者である、といっても、過言ではないでしょう。
そう、日本の消費者を守ることは、日本国民の、安全と安心を、守ること、なのです。
消費者の安全と安心を脅かすリスクは、常に潜在的に存在しています。
例えば、車の欠陥は一度に何万台もリコールをするケースがよくあります。この欠陥はときに死亡事故につながることもある重大な場合もあるのです。三菱自動車の欠陥では、通行人の親子がトラックのタイアが外れたことでなくなりました。製品の欠陥以外にも、食品偽装、食中毒、異物混入
など、など、消費者の安全と安心を脅かすものは、常に、存在しているのです
このような脅威は、たとえ、企業や政府が、どんなに対策をうったとしても、ゼロにすることは、不可能なのです。
この、ゼロには出来ない脅威から、消費者を守る最後の“とりで“が消費者行政なのです。

本弁論は、消費者行政の現状分析をおこない、問題点の提示、その後解決策を導き出す、という構成で行います。

では消費者行政とは一体何なのでしょうか?

消費者行政の大きな目的は、相談の処理の過程で得た情報を、被害の拡大防止、のために消費者にフィードバックすることです。
この目的を達成する為に、消費者行政は地方、中央の協力体制のもとに、成立しています。
この消費者行政の構造は、
ステップ(1) 地方消費者行政が、消費者の相談をうけ、消費者庁に伝達
ステップ(2) 消費者庁が、厚労省や、農水省などの関連省庁に伝達
ステップ(3) 省庁が企業などに勧告。
の3つのステップで、できています。

この消費者行政の構造は一見うまく機能するように思われます。
しかし、この消費者行政の構造の中には、2つの大きな問題点があるのです。

1つ目が 地方消費者行政の弱体化
2つ目が 市民の声が行政に届かない
ということです。

まず一つ目の、地方消費者行政の弱体化について説明します。
地方の消費者行政の弱体化とは、相談員の知識不足や、人手不足によって引き起こされています。地方の消費者行政が弱体化することで、地方と中央の連携で成り立っている消費者行政が滞る事態につながります

地方消費者行政の弱体化の原因は二つあります。
一つ目が、相談員の研修が、地方の業務の実情を考慮していないものであること
二つ目が、地方でやる必要性のない業務まで消費生活センターが行っているということ
です。

まず、一つ目の原因に関して説明します。
国民生活センターは中央にある組織で、地方自治体にある消費生活センターは地方の消費者行政を担っています。現在、国民生活センターは地方の相談員の研修会を行っています。この研修会で、相談員の業務に必要不可欠な法の知識などを教えているのです。
しかし、この研修会が、相談業務時間内に行われるなど、相談員の実情に見合わっていないので、相談員の業務に不可欠な知識とスキル習得が厳しいものになっています。

つぎに、二つ目の原因に関して説明します、
現在地方の消費者行政は、地方でやる必要のない業務まで行っているので、やるべき業務が増え、人手不足につながっています。
地方の消費者行政は、窓口での相談や業者と消費者間のトラブル調停など、地域に根ざす必要のある業務を行っています。しかし、これ以外にも商品テストや消費者の啓蒙活動なども行っています。このように、地方の消費者行政が、地元に根付く必要性のある業務以外にも、地方で行う必要のない業務を行うことで、人手不足がおきているのです。

以上に挙げた二つの原因により、第一の問題点である、地方での消費者行政の弱体化が起こっているのです。

2つ目の、市民の声が行政に届かないことについて説明します。
市民の声とは、具体的には消費者団体や被害者団体の、行政の不備に反発する声のことです。現状、消費者団体や被害者団体が、行政の不備に対して意見書や陳情を行っても、大抵の場合は行政に反映されません。また、反映される場合でも裁判で非常に、長い時間がかかります。
消費者団体や被害者団体の声が行政から無視されることで、消費者に被害が及んでしまうことがあります。例えばアスベストの規制の不備に対して、市民からの訴えがあったにも関わらず、その声は20年も届かなかったのです。結果として、行政の不備がアスベストによる多くの被害者を生んでしまいました。
このように市民の声を行政に反映させることで、行政の不備による被害の抑制をする構造がないのです。

以上、私のあげた、2つの問題点はどのように解決していけばよいのでしょうか?

ここで私は二つの解決策を提示します。
1つ目が中央の国民生活センターに、地方の消費生活センターを統合すること
2つ目は消費者庁に、市民団体の主張を審査するシステムを設置すること
です。

まず、一つ目の政策について説明します。
先ほど、問題点の原因分析でのべたように、相談員の業務の実情を把握しない研修。
地方で行う必要でないことまで地方消費者行政がおこなうことによる人手不足。
この二つによって地方の消費者行政は弱体化しています。
この問題点を解決する為に、中央の国民生活センターと、地方の消費生活センターを統合する政策を提案します。
この政策を導入することで、国民生活センターの相談員の研修が、相談業務の実情を把握したものになります。なので、相談員への研修が効果的に行えるようになり、相談員の知識習得につながるのです。
また、中央と地方のセンターを統合して、地方の消費者行政で行う必要のない業務を中央の国民生活センターが行うようにします。この政策により、繁雑な地方の消費者行政をスリム化し、人員不足を軽減できるのです。
この一つ目の政策により、相談員の知識習得を効果的にサポートできます。また人員不足解消をできるようになり、地方消費者行政をゆるぎないものにできるのです。

次に2つ目の政策について説明します。
2つ目の政策は、市民団体からの省庁の行政の不備に対しての主張を、消費者庁が審査し、その主張の正当性がみとめられた場合は、消費者庁が省庁に、市民団体のその意見を主張するというものです。
この政策では、消費者庁に、市民団体からの主張の審査部門を設置します。審査部門の構成員は消費者庁の職員、専門家、消費者団体などの有識者からなります。審査部門の中で、市民団体からの主張の内容の妥当性を審査します。主張の妥当性がみとめられた場合、消費者庁が省庁にその意見を提示します。
この政策で、今まで、市民が政策の不備を、省庁にみとめさせる手段は裁判などしかなかった現状を改善することが出来ます。これにより省庁の政策の不備による、消費者への被害を抑制できるのです。

以上、私の述べた二つの政策により、消費者行政が機能し、消費者の安全と安心をまもるものになっていくのです。

消費者庁は、縦割りで行われてきた日本の行政に横の視点を取り入れる、画期的な存在なのです。しかし、現状、その理念の実現までには大きな隔たりがあります。みなさんが、消費者という立場でありつづけるならば、その安全安心を脅かす存在は常にあるのです。地方の充実化と市民の声を取り入れる消費者行政で、私たち、消費者をまもる消費者行政をよりよいものにかえていこうではありませんか!
以上をもって私の弁論を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。


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