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演題 「人の身体の7割は…」

弁士 田仲信康(政経2)

「人の身体の7割は水分で構成されている」
人間にとって水は生きていくためにはかかせない重要なものです。
実は将来この水の需給が逼迫すると予想されています、地球は水の惑星とも言われるほど水が多い星ですが、水の約97.5%が海水等であり,実質的に人間が使用可能な水の量は琵琶湖30杯分ほどしかないのです。
今後、人口増加により水需要は1.4倍まで増えると予想され、現在水を十分に利用できない人が世界で11億人もいますが2025年までにはその数は30億人にも昇ると予想されています。
飲み水としての問題だけでなくたとえば、衛生面においては現在、毎年300万人もの人々が衛生的に処理されていない水を原因とする疾病で命を失っています。また疾病により児童は就学日数、就業者は労働日数が減り大きな損失が発生します。
たとえば、食糧生産においては食糧需給の逼迫により飢えに苦しむ人の数は2050年には現在の8億6200万人のほかに、新たに1億3200万人もの人々が飢えに苦しむこととなるでしょう。
今後の食糧の増産には配水管などを使った灌漑設備の設置が非常に重要となります。「緑の革命の米増産の寄与度」は灌漑が30%とトップなっています。しかしこの灌漑農業への移行は水整備の問題上難しくなっています。

以上のように水は今後、重要な課題となってくるのですが、この貴重な水が現在、さらに減っていることを皆様ご存知でしょうか?
新興国の急速な工業化により、毎日、硝酸塩などの化学物質を処理していない汚染水が200万トンも排水され水を使用不能にしています。
また、現在、世界の2割の地域が地下水の過剰にくみ上げを行っていることによって、地盤沈下がおこり、地下水を再生不能にしています。そして、これらの問題がACT水資源を枯渇させることにより、自然のダムである森を退け、さらに水資源を失っています。

なんてことだ!どうすればいいのだ!と皆様お嘆きでしょう。

では私がこの現状を打開していきたいと思います。
国連のデータではそもそも地球の水資源は人間全員に行き届く分があることが証明されています、ではなぜ足りないのでしょう?
ひとつは水が偏在していることです、中東やアフリカは人口に対して水は少なく、ブラジルなどは逆に多くの水資源を持ちます。
もうひとつは人間が水を上手く利用できていないことに起因しています、例えば雨季がある国などは一定の期間に大量の雨が降り、他の期間では不足していることがあります、河川などもダムなど水資源開発をしないことでまさしく水を水に流している状態です。
以上のことから、水を効率的に開発・分配すればこの暗い未来に一筋の光がさすことになるのです。

しかし、水の開発においては現状でいくつかの課題があります。
それは以下の3つです。
1. 水問題から生じる国際河川等での争い(ワンテンポ)
2. 技術・経験不足(ワンテンポ)
3. 計画的な開発の不在(ワンテンポ)
以上の3点です。

ひとつめの水に関する争いとは、世界の水源のおよそ2/3は国境をまたぎ、2000年までに国際河川等で水に関する争いが43件もおきております。これにより、水の適切な分配が阻まれて偏在の原因となっています。

ふたつめの技術・経験不足とは、水道、衛生施設においては技術不足による水道から漏水や浄水技術の不備が上げられます。また、経験不足により、巨大すぎるダムをつくり水圧からか地すべりなどをおこしている国もあります。この技術・経験不足により配水が上手くいかず、一定の地域に水を偏在させ、かつ、水資源の有効利用を達成できずにいます。

みっつめの計画的な開発の不在とは、水資源開発に事前の計画がほとんどない・場当たり的な計画を立てているということです。例えば上水道は作っても、汚水を回収する下水道は作らないことなどです。貧困国の多くが水資源開発に関し事前の計画書を作らぬことで長期的な援助を受けられておりません、またこの計画性の不在は、二点目の経験不足に起因しています。

以上の分析から私は以下の3点を有効な政策としたい。
1. 水の適正価格の決定(ワンテンポ)
2. 国際水資源機構の設立(ワンテンポ)
3. 取水権取引制度の設立(ワンテンポ)
以上の3点です。

まず、一点目の水の適正価格の決定ですが、現在の水の価格は公共の福祉の点から水を取得するコストより低めに料金が設定されています。
このため今まで、水資源の開発、維持のコストが回収されず、水資源の有効利用が阻まれていました。この不当に安い水道料金は、万人の水の利用を目指していましたが、先の理由から水資源の開発、維持を不可能にし、結果、水資源を利用不能にしております。よって水の価格はこのコストを内在化させたものせねばなりません。
また価格付けの副次的メリットとして一部の国々では水の不当に安い価格により、水をまさしく湯水のごとく使っており、適正価格により、水の過剰な使用を諌め水資源を保全し、加えて水に対して人々の関心を引くことができます。
誰が価格を決定するんだ?そもそもこの政策の目的は何?
その疑問に答えるために、2点目、3点目の政策に移らせていただきます。

二点目の政策である、国際水資源機構は各国政府の基金により成立する協力機関であり、その役割は以下3つとします。
1. 国家間での総合調整・オブザーバー(ワンテンポ)
2. 水資源に関するデータベースの作成、共有化・開発計画策定(ワンテンポ)
3. 水資源開発の技術マネジメント(ワンテンポ)
以上3点です。

1つめの役割としてまずは国際河川等で発生する国家間での対立を調整する。今までも対立国間等での調整はありましたが、それは実行力を持たず有効なものとは
なりませんでした、それは「水」がタダであった由縁であったと私は考察します。
今まで水がタダであったゆえに、評価基準がなく「水をよこせ、いやだ」の平行線上の争いを、一点目の政策で上げさせていただいた価格という明確な基準による調整をおこないます。くわえて、今までの調整機関と違い、実質的な行動力を持つので、水資源機構に対する信頼性が高まります。

実質的な行動を可能にするのが二つ目の役割、水の使用量や降水量などの水資源に関するデータベースの作成です、お互いの水資源の情報を知り、当該国の水資源に関する実態を把握します。
今まで、国際河川においては川上の国が水資源を開発し、川下の国が利益のみを得ていました。これを価格付けによって川下の国に開発コストの適正な負担を促します。データベースを作ることにより、お互いの国の使用状況・金銭的負担が公正・適切であることを数値で示すことが出き、対立国間に信頼が生まれます。
3つ目の役割として水資源を開発・維持するときには、世界のさまざまな国の技術を駆使して有効な開発を行います。欧州の優れた水道民営化ノウハウの取り入れ、米国等の危機管理能力、日本の海水淡水化や汚染水浄化の最先端技術。
水資源開発機構はこの世界の先端技術による水資源開発をおこなう際に、開発される側の国とデータベースを基に開発計画を作成する。水資源開発機構はその後、開発計画が計画通りおこなわれているかのオブザーバーであると共に、開発計画が有効であった点・無駄な点ならばそれを再びデータベース化しその後の開発計画の作成に役立てる。
これらの開発コストをもとに総合的に判断し、水の価格決定をしていく。

ここで「お金がなく、水資源を開発できない国はどうするんだ!」という声が聞こえてきそうですが、ここで三点目の政策「取水権取引制度」に移らせていただきます。
取水権取引制度とは、現在、CO2取引で行われているクリーン開発メカニズムの発想を水資源開発に生かしたものです。すなわち水資源開発、ダムや上水道の整備で新たに得られた水や下水道や浄化施設の整備により失わずにすんだ水資源分の取水権・もしくは価格付けで決定した取水権分の金銭を恩恵を受けた国が提供します。
このことにより開発される側の国は水資源という重要な問題を高度な技術によって解決でき、開発側の国は取水券によってえた水を自国で活用、売買することによりお互い利益を得られます。
取水権での支払いにより、貧困国でも開発コストが払えるようになります。仮に取水権でも金銭でも払えない国は開発計画を策定したのち長期債での融資を受け、その後返済していきます。
この取水権の売買により、地域間の水の偏在を解消していきます。このとき水資源開発機構は取水権売買が公正な価格であるかを監視を行い、開発を行う各国企業を開発計画にそって調整したり、援助金の融資などを行います。

以上3つの政策によって水の未来に一筋の光が見えてきます、
人の身体の7割は水でできている。しかし私たちの日々の生活において水が関わるのは、衛生、食糧、外交、経済、教育、環境等さまざまな問題にわたる、その範囲たるやもしかすると7割を大きく上まっているのかもしれない。


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